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連載「つつむ」をつくる  第3話

「つつむ」をつくる

1976年に、私たちの会社は「パッケージアート」という名称に変わりました。

先代の「つつむ技術だけでなく、そこに豊かさを感じさせるものがなければならない」という信念を表したものです。「アート」には”技術”と”表現”との意味を込め、パッケージを通じて広がる豊かさを意識しています。

私たちのモットーである「つつむ」をつくるという言葉には、そうした思いが込められています。豊かさの源泉は、お客様の製品でありサービスです。その価値はお客様のブランドにあります。「つつむ」をつくるとは、お客様のブランドをパッケージを通じて支えるということです。私たちは、お客様のブランディングのパートナーとなりたいと考えています。

この思いをお伝えしたく、4話のブログに綴りました。今回は、その第3回目です。

第3話:パッケージは、カスタマージャーニー

パッケージは、おしゃべり好き

街を歩いていると、パッケージは「おしゃべり好きだな」と感じる時があります。あちこちから、いろいろな声で話しかけてくれる。本当に賑やかです。

季節の移り変わりや、様々なイベントや行事に合わせて、声のトーンを変え、多彩な音階を奏で、歌でも歌うように話しかけてくれます。街中はいつも盛大なコーラスが鳴り響いているようです。

パッケージには、伝える力があると私達は信じています。実際に「声」があるのです。その「声」に耳を傾けてみてください。

ある人にはかすかに、ある人には大きく聞こえます。それは呼びかけであったり、ささやきであったり、朗読であったり、演説であったり、多種多様で個性豊かです。遠慮がちな「声」もあれば、堂々とした太い声もあります。

世界はパッケージの「声」にあふれているのです。

「つつむ」とは、カスタマージャーニーの演出

その「声」に深く耳を傾けるとき、私たちは「つつむ」ことの意味をもっと深く知ることにもなります。「つつむ」とは、どういうことなのでしょう。パッケージの声を聞いてみましょう。

「開けて欲しい」

そんな声が聞こえてきませんか。

「つつむ」ことは、本質的に「開ける」瞬間を待つプロセスなのです。「つつむ」ことの意味は「開封」されてはじめて完成します。永遠に開けられることのないパッケージは、永遠にパッケージとして完成しえない。開けられてこそ、パッケージは「つつむ」意味を全うします。

空けた時の微かな空気の変化。朱塗りのお椀の蓋を開ける時の、あのなんとも言えない高揚感にも似た幸せを贈りたくて、人はパッケージを選びます。

「つつむ」とは、製品や作品を箱に閉じ込める行為ではありません。

「つつむ」をつくるとは、お客様の製品や作品を手にしたユーザーが、パッケージを手にして封を開ける瞬間までの一連のプロセス、つまりカスタマージャーニーを演出する仕事なのです。私たちは、その演出のプロフェッショナルになりたいと思っています。

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